1.はじめに
金融リテラシー(資産運用)、ここでは株式投資の「マーケット・タイミング」と「テクニカル・アプローチ」に絞って述べてみたいと思います。
株式投資では、投資対象である「企業の投資価値」を見定めるのが第一歩。もっとも重要でかつ基本部分です。適時開示や企業のIR情報などで収益状況や業界動向、また、体系立った財務分析で財務体質を評価しておかなくてはなりません。
次は、「株価分析と投資実践」。この部分は各者各様、自分の強い想いや納得できる投資スタイルであっていいと思っています。筆者が、最初に取り組んでいるのは「マーケット・タイミング」。エントリーポイントを測り、組み入れ比率(投資金額)をコントロールします。 加えて「テクニカル・アプローチ」、物色の流れやエントリーポイントでの銘柄選択をテクニカルに追いかけます。以下に記述していることが、ほんの一部分でも皆様のご参考になれば幸いです。
「株式投資」という世界があるのを知ったのは、確か中学校に入学したころと記憶しています。生まれつき病弱であった筆者に、いずれ役に立つかもと思ったのか、父親は株式売買の判断を求めました。マーケットのボラティリティが大きい時代、保有株がたまたまストップ高、まだ立会時間中。「売るのか、持ち続けるのか…」。買いよりも売りの判断が難しいと言われていますが、怖い顔で即答を求められ、その有無を言わせない迫力に「売り…」と感覚的(その時の気分)に応えたものです。
当時は、買いに軸足をおいたレポートは沢山ありましたが、売りのコメントは無く、必然的に自我流の「株価分析」の世界に入っていきました。罫線の世界です。「業績が良いのは、必要条件であっても十分条件ではない」と感じたものです。要はタイミングとテクニカル・アプローチ。そして、いろいろなパターン判断はうまく行く場合も外れる場合も…、極めることが出来なかったのかもしれません。が、ここから「確率」という言葉が判断の大きなウェートを占めるようになりました。
次は、マーケット・タイミング。複数銘柄を組み入れるポートフォリオのパフォーマンスは「個々の銘柄の業績など個別銘柄の要因もあるが、効果として大きいのはポートフォリオの組み入れ比率」。「運用パフォーマンスに関する要因分析」についてのレポートを読んだ記憶は鮮明に残っています。銘柄が少ない場合は「投資可能な資金の内、どこまで投資するか」と置き換えればよく、ポートフォリオの大小は関係ありません。
このころには、証券会社に入社、調査部・株価分析チームに配属されていました。上司はテクニカル・アナリスト、市場分析のスペシャリスト。ここで述べる「マーケット・タイミング」は、当時教わった考え方を引き継いでいますが、DX、AIの時代、データ分析に磨きをかけているつもりです。「売買タイミング」の判断に費やす時間は、運用の大部分を占めると言ってよいと思います。