サンゴ白化、より広範囲に=夏季の水温上昇で―豪 2024年04月01日 05時14分
【シドニー時事】世界最大のサンゴ礁グレートバリアリーフのあるオーストラリアで、サンゴの白化がこれまでより広い範囲に及んでいることが、官民の海洋保護団体の調べで分かった。南半球の夏に当たる12~2月に海水温が上昇した影響とみられ、比較的涼しい高緯度の海域でも白化が進みつつある。
白化はサンゴに共生する藻類が抜け落ち、白く透けて見える現象。栄養分を摂取しにくくなり、深刻化すると死滅につながる。豪政府グレートバリアリーフ海洋公園局がエリア内約600のサンゴ礁を上空から調査したところ、ほぼ全域で白化が確認された。同局は「白化の広がりは水温上昇による負荷の程度と一致する」と説明。潜水調査で被害の詳細を点検している。
グレートバリアリーフは豪北東部の南緯10~24度に位置している。民間団体コーラルウオッチは、その外側にある南緯25度のハービー湾でも白化を確認。民間団体の豪海洋保護協会は、南緯31度の離島ロードハウ島でも白化が見られると発表した。この夏、豪州各地はたびたび熱波に見舞われ、海水温が最高31度まで上昇した。
白化したサンゴは高い水温が続けば死滅するが、水温が下がれば回復する可能性があるとされる。コーラルウオッチは「サンゴを救うためにわれわれができることは、温室効果ガスの排出を減らし、再生可能エネルギーの社会へ移行させることだ」と訴えている。