イスラエル、対応模索=イラン初の直接攻撃、応酬激化も―報復なら全面衝突の懸念 2024年04月15日 15時21分
【イスタンブール時事】イランは13日夜から14日未明(日本時間14日未明から同日朝)にかけ、在シリア大使館空爆への報復として、無人機やミサイルでイスラエルへの大規模攻撃に踏み切った。イランからイスラエルへの直接攻撃は例がないとされ、イスラエル戦時内閣は15日、前日に続いて報復に踏み切るか対応を協議した。
イスラエルは「代償をイランは支払う必要がある」(カッツ外相)と反撃の構えを見せており、全面衝突に発展すれば、中東情勢は重大な局面を迎える。米CNNテレビによると、戦時内閣内には迅速な報復を求める意見のほか、外交面でイランの孤立を図るべきだとの声もあり、14日の閣議では結論が持ち越された。
イスラエル軍報道官は、イランは350以上の「弾道ミサイルや巡航ミサイル、自爆ドローン」などを発射したと分析。米軍高官によれば、イスラエルに向けて飛ばされたドローンは150機以上、中距離弾道ミサイルは100発超、巡航ミサイルは30発超に達した。
イスラエル軍によると、大多数を撃墜したが一部が領内に達し、女児1人が負傷した。軍報道官は米国や英国などと連携し「イランの攻撃を阻止した」と強調した。
一方、イランのバゲリ軍参謀総長は14日、「作戦は終了した」と主張。本格的な衝突を望まないイランは今回の攻撃で幕引きを図りたい考えとみられ、今後はイスラエルの出方が焦点となる。
イスラエルは昨年10月以来、パレスチナ自治区ガザでイスラム組織ハマスの壊滅を目指し軍事作戦を続けている。イランとも交戦すれば多方面への対処を求められる。米国は中東の早期安定化を望み、米高官は「イスラエルが行ういかなる対応にも加担しない」と明言。米軍はイスラエルの反撃には支援も関与もしない方針だと説明した。
国際社会からはイランの攻撃に批判が相次いだ。岸田文雄首相ら先進7カ国(G7)首脳は14日、テレビ会議を開き、首脳声明で「前例なき直接攻撃」を強く非難。ただ声明は、G7として「さらなる(緊張の)拡大回避に努める」と訴え、イランだけでなく、イスラエルにも反撃を思いとどまるよう暗に自制を促した。