「サルの街」で大規模捕獲作戦=人への被害相次ぎ対策―タイ 2024年08月03日 05時11分
【バンコク時事】街中に野生のサルが生息する「サルの街」として知られるタイ中部ロッブリ県の中心部で、人に被害が出るケースが相次いでいる。観光にも影響が及んでおり、対策を迫られた政府と地元当局は大掛かりな捕獲作戦に乗り出した。
同県中心部は、13世紀までに建造されたクメール様式の寺院遺跡などがある観光地。サルも観光客誘致に一役買っていたが、近年はその数が増え、政府によると、昨年の時点で2200匹以上が生息していた。
住民によれば、餌を求めるサルが食べ物を奪う際に人を負傷させたり、物を壊したりする被害が相次ぎ発生。寺院遺跡周辺では、ふんの悪臭が漂う。嫌気が差した住民の一部は引っ越し、観光客も減った。
同国メディアが昨年12月から「サル害」問題を取り上げており、セター政権は地元自治体と協力して対策に取り組むと表明。サルを捕獲して不妊手術を施し、県内の専用施設に移す作業を今年5月から本格的に始めた。政府によると、7月末時点で1500匹以上を捕まえた。
県中心部の自治体トップのジャムルーン氏は取材に対し「サルが街にあふれ、経済は破綻しそうだ。政府と協力して捕獲を進め、施設も増やしたい」と強調。寺院遺跡近くでバイク修理店を営むチャイチャナさん(38)は「問題の解決を長年要望していたが、ようやく動き始めた。人とサルの共生には数を200匹程度に抑え、適切なバランスを保つ必要がある」と話した。