「亡くなった兄の分も頑張る」=「ドクちゃん」、映画公開―ベトナム 2025年03月02日 20時15分

自身を追ったドキュメンタリー映画の看板の前に立つドクさん=2月28日、ハノイ
自身を追ったドキュメンタリー映画の看板の前に立つドクさん=2月28日、ハノイ

 【ハノイ時事】ベトナム戦争で米軍が使用した枯れ葉剤の被害者とされる結合双生児「ベトちゃん・ドクちゃん」の弟グエン・ドクさん(44)の人生をつづったドキュメンタリー映画の劇場公開がベトナムで始まった。主演のドクさんは時事通信の取材に、2007年に亡くなった兄ベトさんについて、「兄の分まで頑張るという思いを込め、この映画ができている」と語った。
 映画は、妻トゥエンさんや、分離手術などを支援した日本への感謝の意味を込め、「フジ」「サクラ」と名付けられた10代の双子との日常を映し出す。一方でドクさんが枯れ葉剤の影響とみられる「傷痕」を背負いながら生きる様子も描いた。
 ドクさんは、ベトさんを「昔から同じだが、(亡くなった今も)とても大切な存在だ」と語り、「自分自身の体の中には兄の体もある。皮膚や肉体に残っていると感じている」と話した。
 今年はベトナム戦争終結から50年に当たる。当時生まれていなかったドクさんは、過去にこだわるよりも世界各国が協力し「積極的で前向きな未来」を模索できればと口にした。
 また、双子の子どもたちについては「全ての原動力になる存在」と話し、平和を訴える活動を受け継いでほしいと願う。年齢を重ね、自身の健康状態は必ずしも良いとは言えないといい、体力や体調の面で「いつどんな変化があるか分からない」が、兄のため、子どもたちのためにも一日一日を大切にしていくつもりだ。 

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ドクさん一家(ドキュメンタリー映画の一場面から)@Kingyo Films Pte,Ltd
ドクさん一家(ドキュメンタリー映画の一場面から)@Kingyo Films Pte,Ltd
入院中の結合双生児ベトさん(左)、ドクさん=1988年、ベトナム南部ホーチミン
入院中の結合双生児ベトさん(左)、ドクさん=1988年、ベトナム南部ホーチミン

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