欧州、構図一変で結束誇示=ウクライナ支援へ「有志連合」―米国の対ロ融和に危機感 2025年03月03日 17時55分

【ロンドン時事】2日にロンドンで開かれた欧州主要国の首脳会合は、ロシアの侵攻を受けるウクライナの安全を保証するための「有志連合」形成で合意し、和平に向けた結束を誇示した。米国で政権に返り咲いたトランプ大統領が対ロ融和姿勢を示し、ウクライナを巡る「米欧対ロシア」の構図が一変。米国が離反しかねない状況に対する欧州の危機感が浮き彫りになった。
トランプ氏は2期目就任後、ロシアのプーチン大統領との対話を進めてきた。国連安保理は2月24日、ロシア非難を盛り込まず「紛争の迅速な終結」を求める米国提出の決議をロシアも賛成して採択。欧州の5理事国は採決で棄権に回り、米欧の亀裂を露呈した。同月28日のトランプ氏とウクライナのゼレンスキー大統領の会談は、激しい口論の末に決裂した。
米国がウクライナ支援の停止を検討していると報じられる中、軍事と経済の両面で劣る欧州としては結束が不可欠。ゼレンスキー氏も参加した首脳会合後、スターマー英首相は記者会見で「われわれは歴史の岐路に立っている」と欧州各国に行動を呼び掛けた。ポーランドのトゥスク首相はX(旧ツイッター)への投稿で「欧州は目覚めた」と団結を歓迎した。
ただ、今後も各国の足並みがそろうかは予断を許さない。スターマー氏は首脳会合に先立ち、首相官邸で2人の首脳と個別に会談した。1人はゼレンスキー氏、もう1人はイタリアのメローニ首相だ。
極右政党を率いるメローニ氏は、トランプ氏側近の米実業家イーロン・マスク氏とも親密で、和平後のウクライナへの平和維持部隊派遣に消極的と伝えられる。フランスとともに平和維持部隊派遣構想を掲げるスターマー氏自身、ウクライナの和平実現には「米国の強力な支援が必要だ」と認めている。
欧州各国は、それぞれ足元にも不安要素を抱える。2月のドイツ総選挙では極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が第2党に躍進。英国でも右派ポピュリスト政党「リフォームUK」が、最近の世論調査で支持率首位に立った。会合に参加した首脳らは、極右・ポピュリストが勢力を伸ばす国内情勢をにらみつつ欧州の結束を維持し、米国との決定的対立を回避するという難しい対応を迫られる。
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