イスラエル、レバノンと関係改善模索=米政権が圧力か 2025年03月14日 19時49分

【エルサレム時事】イスラエルが、パレスチナ問題などで長年敵対し、国交のない隣国レバノンとの関係改善を模索している。11日、米国とフランスの仲介で、未画定の国境問題を協議する作業部会の設置で合意。専門家は、地域の安定化を図ることで実績を誇示したいトランプ米政権の圧力が背景にあると指摘する。
イスラエルは建国以来レバノンと対立してきたが、2022年、米国などの仲介で天然ガス田を巡って争ってきた東地中海の海洋境界を画定する協定に署名。しかし、陸上の国境問題では進展がなかった。イスラエル首相府は11日、国境付近で拘束したレバノン軍兵士や民間人計5人の解放にも合意したと発表した。
イスラエルは23年10月以降、イスラム組織ハマスに連帯してイスラエルを攻撃したレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラへの越境攻撃を実施。24年11月に停戦合意が発効した。ヒズボラは、イスラエルとの交戦で大きく消耗し、レバノン政界での影響力も低下したとされる。米政権はこの機に乗じ、両国関係改善を進める狙いとみられる。
シンクタンク「エルサレム安全保障外交センター」の上級アナリスト、ヨニ・ベンメナヘム氏は、2月18日に期限を迎えたイスラエルとヒズボラの停戦を事実上延長し、より安定的なものにするため、米国が仲介を行ってきたと説明。今月11日の合意でも「米国の強い働き掛けがあった」と指摘した。