対外支援など予算減額案、採決へ=野党は「政府閉鎖」で揺さぶり―米上院 2025年07月12日 15時31分

米連邦議会議事堂=2日、ワシントン(EPA時事)
米連邦議会議事堂=2日、ワシントン(EPA時事)

 【ワシントン時事】米上院は今週、対外支援などの予算を94億ドル(約1兆4000億円)減額する法案の採決を行う見通しだ。ただ、予算減額には与党共和党内に慎重な意見があるほか、野党民主党は反対する構え。民主党指導部は会計年度末となる9月末の「政府閉鎖」をにじませ、揺さぶりをかけている。
 法案は、援助機関の国際開発局(USAID)や国務省などの対外支援や、トランプ政権が「左派プロパガンダ」と嫌悪する公共ラジオ(NPR)と公共放送(PBS)の予算を削る内容。下院は先月、賛成214票、反対212票の僅差で可決した。
 トランプ政権は1月の発足以降、政府機関の縮小や職員解雇を推進。強引な手法には違法性も指摘される中、予算減額案の成立で確実な歳出削減を目指す。ただ、対外援助などの行き過ぎたカットには共和党内からも反発の声が上がっており、下院採決では同党から4議員が「造反」した。
 トランプ大統領はSNSで「すべての共和党議員は私の予算減額案を堅持することが極めて重要だ」と投稿。特に公共放送などの存続に動く議員には「私の支持が得られない」と、来年秋の中間選挙を念頭に、引き締めを図った。
 民主党も、トランプ政権が進める一方的な削減に反発を強めている。上院トップ、シューマー院内総務は8日、議場で「共和党が超党派合意を放棄するなら、予算で民主党に協力を期待するのはばかげている」と語った。
 上院(100議席)で予算案を採択するには、議事妨害を阻止するため60票が必要で、民主党の協力が不可欠。9月末までに本予算かつなぎ予算が成立しなければ、政府機関の一部が閉鎖される。シューマー氏は政府閉鎖をちらつかせた形だが、実際に閉鎖されれば社会の混乱を招くため、難しい判断となりそうだ。 

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