法案可決、腐敗撲滅に逆行か=ウクライナで異例の抗議デモ 2025年07月23日 07時33分

ウクライナ汚職対策当局から独立捜査権を奪う法案が22日、最高会議(議会)で可決された。ゼレンスキー大統領が掲げた腐敗撲滅に逆行するものとして世論の目は厳しく、首都キーウや西部リビウではロシアの侵攻下で異例の抗議デモが始まった。
腐敗撲滅は、ウクライナが悲願としてきた欧州連合(EU)加盟に向けた交渉の主要な条件。進展しなければ「戦後復興」に向けた外国からの民間投資にもブレーキがかかる恐れがある。
法案に揺れる当局は、2015年に設置された国家汚職対策局(NABU)と特別汚職対策検察庁(SAP)の二つ。採決に際し、ゼレンスキー政権与党「国民の奉仕者」が賛成した。
これに先立ち、情報機関の保安局(SBU)は21日、「ロシアによる影響力の行使を阻止する」という名目でNABUの関係先を一斉捜索し、高官を拘束。ウクライナ支援を主導する日本を含む先進7カ国(G7)大使団は声明で「深刻な懸念」を示した。