米に代わる「リーダー像」演出=国際協調や気候変動対策で―中国首相 2025年09月27日 14時27分

【ニューヨーク時事】中国の李強首相は26日、国連総会への5日間にわたる参加日程を終えた。総会では国際協調路線や多国間主義など、トランプ米政権と対照的なメッセージの発信に努め、米国に代わる「新たなリーダー」としての中国像を打ち出すことを狙った。
「国連を中核とする国際システムがあったからこそ、人類社会は平和を実現できた」。李氏は26日の一般討論演説で、国連批判を強めるトランプ大統領の存在を念頭にこう語った。
トランプ氏は23日の演説で、国連が不法移民を助長していると主張し、気候変動は「史上最大の詐欺」だと持論を展開した。中国はこれを好機と捉え、24日に行われた国連の気候サミットで習近平国家主席のビデオ演説を発表。「一部の国」が時流に逆行していると皮肉り、温室効果ガス排出量を2035年までにピーク時から7~10%削減すると表明した。中国が数値目標を掲げたのは初めてだ。
期間中、李氏は中国主催の会合で「自由貿易」の重要性を訴え、世界貿易機関(WTO)における「途上国」としての優遇措置を放棄すると言明した。一方で、自国が依然として発展途上国であることも強調した。世界2位の経済大国である中国が途上国の立場にこだわるのは、国際機関などでの負担が少なくなるメリットがあるほか、新興・途上国「グローバルサウス」の糾合に有利だからだ。
ただ、習政権のこうした姿勢が国際社会にどれほど響いたかは不透明だ。報道によると、欧州連合(EU)欧州委員会のフックストラ気候担当委員は、習氏が示した温室効果ガスの削減目標は「求める水準を大きく下回っている」と失望をあらわにした。実際は30%の削減が必要だという。
トランプ政権の高関税政策を「いじめ」だと批判する習政権だが、中国がレアアース(希土類)の輸出規制などを武器に圧力をかける手法は各国の知るところだ。グローバルサウスの盟主を任じるインドのジャイシャンカル外相は、国連の関連会合で「途上国は単一市場や供給元への依存を減らす必要がある」と訴え、中国への警戒感をにじませた。