米利下げ時期、後ずれも=移民急増で雇用堅調 2024年04月06日 14時17分

 【ワシントン時事】3月の米雇用統計で、非農業部門の就業者数が前月比30万3000人増と、市場予想の約1.5倍という「並外れた強さ」(米エコノミスト)を記録した。堅調な労働市場に加え、インフレ鈍化もあまり進んでおらず、連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ開始の時期が今年半ばから後半へ後ずれするとの観測もじわりと浮上している。
 雇用拡大の一因は移民の急増だ。米議会の超党派機関、議会予算局(CBO)によると、2023年の米国の純移民流入数は推計330万人と、コロナ禍前の10~19年の年平均90万人をはるかに上回った。
 一方、移民増に伴って人手不足は幾分か緩和し、インフレの要因とされる賃金上昇は減速。3月の平均時給は前年同月比4.1%上昇と、21年半ば以来の低い伸びとなった。
 11月の大統領選では移民問題が最大の争点だ。野党共和党の候補指名が確定したトランプ前大統領が移民規制強化を訴えるのに対し、民主党のバイデン政権で経済政策のかじ取りを担うブレイナード国家経済会議(NEC)委員長は5日、米テレビに「移民は常に米労働市場の力強さの一部だ」と強調した。
 約40年ぶりの高インフレが落ち着いたことで、FRBは24年内に0.25%幅で3回の利下げを想定する。しかし、雇用が強さを保つ一方、インフレ鈍化はこのところ停滞気味。FRB高官からは相次いで「利下げ開始は今年末が適切」「インフレ率の横ばいが続くなら、利下げが必要か疑問が生じる」といった声が上がる。
 ボウマンFRB理事は5日の講演で「移民も手伝った労働者増加など供給サイドの改善が、引き続きインフレを押し下げるか不透明だ」と指摘。「まだ利下げが適切な段階ではない」と言明した。 

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