スマホ寡占にメス=新法案で規制、欧州は先行実施 2024年05月01日 18時05分

 スマートフォンアプリなどの市場で米グーグルやアップルといった巨大IT企業を規制する新法案が国会に提出された。政府は今国会で成立させた上で、1年半以内の施行を目指す。これに先駆け、欧州連合(EU)は3月に同様の規制の本格運用を開始。巨大ITの出方をうかがいながら、日本も厳しい罰則を伴う規制で寡占市場にメスを入れる。
 「デジタル市場の競争力を強化するため、日米欧で足並みをそろえ、連携して対応していきたい」。新法案の狙いについて、公正取引委員会の古谷一之委員長はこう指摘した。
 EUで本格スタートした「デジタル市場法」は、自社サービスの優遇禁止などを盛り込み、違反した場合の制裁金として最大で世界売上高の10%を科している。米国でも、スマホ市場の独占が反トラスト法に違反するなどとして訴訟が相次ぎ、巨大ITに対する「包囲網」が出来上がりつつある。
 こうした状況に公取委は「日本だけ環境整備が遅れれば弊害が出てくる」(幹部)と危機感を強めた。「スマホソフトウエア競争促進法案」は、市場支配力を持つ巨大ITによる自社の優遇や、新規参入の阻害を禁止。アプリストアや基本ソフト(OS)、ブラウザー、検索エンジンについて、違反した場合、対象分野の国内売上高の20%を課徴金として科す。
 課徴金を従来の3倍以上に設定することで、競争を阻害する行為を防止。巨大ITへの手数料で収益を圧迫され、「デジタル小作人」とも呼ばれるアプリ開発者らを保護したい考えだ。消費者にもメリットが期待され、古谷氏は「選択肢が広がり、より安価でいい内容のサービスが提供される」と訴える。
 巨大ITに対しては、順守状況の報告を毎年求めるほか、アプリ提供者らも含めて日常的に情報を収集する。EUの規制を受けてアップルは早速、アプリストアの新規参入を認める一方、新たな手数料を徴収する「抜け道」とも言える措置を取った。こうした状況も踏まえ、規制の実効性を高める運用で市場支配に風穴を開ける。 

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