【2021年9月21日~22日】金融政策決定会合の結果(要約) 2021年09月22日 15時53分
前回(2021年7月16日公表)との比較まとめ
当面の政策金利目標と資産買入れ規模については前回から据え置きとなった。
1.政策金利目標
前回会合から据え置きを決定。
【短期金利】日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用。
【長期金利】10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債を買入れ。
2.資産買入れ規模
前回会合から据え置きを決定。
【ETF】年間約12兆円の残高増加ペースを上限に必要に応じて買入れ。
【J-REIT】年間約1,800億円の残高増加ペースを上限に必要に応じて買入れ。
【CP等、社債等】2022年3月末までの間、合計で約20兆円の残高を上限に買入れ。
3.その他決定事項
(1)新規および変更事項
- 気候変動対応を支援するための資金供給オペレーション(気候変動対応オペ)の詳細を決定【新規】
(2)継続および変化なし項目
- 「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続
- マネタリーベースは、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率が安定的に2%を超えるまで拡大方針を継続
- 新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラムを継続
- 国債買入れやドルオペなどによる円貨および外貨の上限を設けない潤沢な供給を継続
- それぞれ約12兆円および約1,800億円の年間増加ペースの上限のもとでのETFおよびJ-REITの買入れを継続
- 新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる
- 政策金利は、現在の長短金利の水準かそれを下回る水準での推移を想定
■当面の金融政策運営について(2021年9月22日)
1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、以下のとおり決定した。
(1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)(賛成8反対1)
次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。
短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。
長期金利:10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行う。
(2)資産買入れ方針(全員一致)
長期国債以外の資産の買入れについては、以下のとおりとする。
①ETFおよびJ-REITについて、それぞれ年間約12兆円、年間約1,800億円に相当する残高増加ペースを上限に、必要に応じて、買入れを行う。
②CP等、社債等については、2022 年3月末までの間、合計で約20兆円の残高を上限に、買入れを行う。
2.また、前回の金融政策決定会合において骨子素案を公表した、気候変動対応を支援するための資金供給オペレーション(気候変動対応オペ)について、その詳細を決定した(全員一致)。
3.わが国の景気は、内外における新型コロナウイルス感染症の影響から引き続き厳しい状態にあるが、基調としては持ち直している。海外経済は、国・地域ごとにばらつきを伴いつつ、総じてみれば回復している。そうしたもとで、輸出や鉱工業生産は、一部に供給制約の影響を受けつつも、増加を続けている。また、企業収益や業況感は全体として改善を続けている。設備投資は、一部業種に弱さがみられるものの、持ち直している。雇用・所得環境をみると、感染症の影響から、弱い動きが続いている。個人消費は、飲食・宿泊等のサービス消費における下押し圧力が依然として強く、引き続き足踏み状態となっている。住宅投資は持ち直している。公共投資は緩やかな増加傾向を続けている。わが国の金融環境は、企業の資金繰りに厳しさがみられるものの、全体として緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、感染症や携帯電話通信料の引き下げの影響がみられる一方、エネルギー価格などは上昇しており、0%程度となっている。また、予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移している。
4.先行きのわが国経済を展望すると、当面の経済活動の水準は、対面型サービス部門を中心に、新型コロナウイルス感染症の拡大前に比べて低めで推移するものの、ワクチン接種の進捗などに伴い感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて、回復していくとみられる。その後、感染症の影響が収束していけば、所得から支出への前向きの循環メカニズムが強まるもとで、わが国経済はさらに成長を続けると予想される。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、エネルギー価格などの上昇を反映して小幅のプラスに転じていくと予想される。その後、経済の改善が続くもとで、携帯電話通信料の引き下げの影響剥落もあって、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、徐々に上昇率を高めていくと考えられる。
5.リスク要因としては、新型コロナウイルス感染症の帰趨や、それが内外経済に与える影響といった点について、不確実性が大きい。さらに、感染症の影響が収束するまでの間、企業や家計の中長期的な成長期待が大きく低下せず、また、金融システムの安定性が維持されるもとで金融仲介機能が円滑に発揮されるかについても注意が必要である。
6.日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。引き続き、①新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム、②国債買入れやドルオペなどによる円貨および外貨の上限を設けない潤沢な供給、③それぞれ約12兆円および約1,800億円の年間増加ペースの上限のもとでのETFおよびJ-REITの買入れにより、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めていく。当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している。
[ゴールデン・チャート社]
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■参考資料(外部サイト)
金融政策決定会合の結果「当面の金融政策運営について」(日本銀行)