低所得国、債務軽減停滞も=援助国、選挙で内向き―IMF・世銀会合 2024年04月22日 14時50分
【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が後退し、世界的に金利の高止まりが見込まれる中、過剰債務を抱える低所得国の負担軽減が進まない恐れが出てきた。日米など援助国は選挙を控えて「内向き」姿勢を強めかねず、支援の停滞も懸念されている。
ワシントンでは先週、国際通貨基金(IMF)と世界銀行の春季会合が開かれ、17日には閣僚レベルの「円卓会議」で債務問題が話し合われた。ゲオルギエワIMF専務理事は19日の記者会見で、交渉スケジュールの明確化など「十分な進展があった」と成果を誇った。
しかし、債務問題が深刻化したコロナ禍以降、債務減免を実現できた低所得国はゼロにとどまる。セラシIMFアフリカ局長は会見で「債務再編には債権国が損失を被らなければならない」と述べ、交渉に時間を要することを認めた。
世界経済の先行きに明るさが増し、市場環境が改善しており、コートジボワールやケニアなどは今年、ドル建て国債の発行に成功した。しかし借り入れコストは高く、セラシ氏は「多くの国が資金繰り難に直面している」と危機感を示す。
金利が高止まりする中、低所得国の開発や気候変動対策を促すには、世銀など国際開発金融機関の長期低利融資が不可欠だが、融資能力拡大には「増資が必要」(米専門家)との見方もある。ただ、米国は11月に大統領選を控え、日本も来秋に衆院議員の任期満了を迎えるなど、資金を拠出する先進国では今後、選挙が相次ぐ。国内問題が優先され、支援は置き去りにされかねない。
米シンクタンク、世界開発センターのクレメンス・ランダーズ氏によると、世銀グループで低所得国支援を担う国際開発協会の大口拠出国10カ国のうち6カ国で今後1年半以内に選挙があり、資金確保に「多くの不透明感をもたらしている」という。