新理事、早くも「トランプ色」=大幅連続利下げ想定―米FRB 2025年09月23日 14時57分

22日、講演のため米ニューヨークを訪れたミラン連邦準備制度理事会(FRB)理事(AFP時事)
22日、講演のため米ニューヨークを訪れたミラン連邦準備制度理事会(FRB)理事(AFP時事)

 【ワシントン時事】トランプ米大統領に指名され、16日に就任したばかりのミラン連邦準備制度理事会(FRB)理事が、早くも「トランプ色」を明確にしている。先週行われた連邦公開市場委員会(FOMC)で、通常の2倍となる0.5%利下げを3会合連続で行う想定を提示。FRBに大幅利下げを迫るトランプ氏や政権の意向に沿った言動が目立つ。
 FRBは16、17日開催のFOMCで、0.25%幅で9カ月ぶりの利下げを決めた。だが、ミラン氏はただ1人、0.5%の引き下げを唱えた。同時に公表されたFOMC参加者の政策金利見通しでは、年内に計1.5%の急激な利下げシナリオを示しており、他の参加者の想定と大きな乖離(かいり)がある。
 ミラン氏は22日、ニューヨークで講演し、トランプ政権の移民規制強化で家賃上昇が今後収まり、人口の伸びも鈍化するとして、景気を熱しも冷ましもしない中立的な金利水準は大きく押し下げられたと主張。高関税政策についても「物品価格の小幅な上昇が不当なほど懸念されている」と、政権を「代弁」した。
 ミラン氏は、理事の任期が来年1月末までと短いため、政権要職である大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を辞任せずに休職。トランプ氏から「ある特定の政策を決めるよう求められたことはない」と強調するが、政権からの独立性を巡る疑念は消えない。
 ミラン氏は10月の次回会合でも、大幅利下げを主張する考えを示唆する。しかし、高関税による物価上昇は今後本格化するとの見方は根強い。セントルイス連邦準備銀行のムサレム総裁は22日の講演で、インフレ持続懸念を背景に「追加の金融緩和余地は限られている」と指摘した。 

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