「核の先制不使用」維持=兵器開発は強化―初の核実験から50年・インド 2024年05月18日 14時32分

1974年5月に実施されたインド初の地下核実験の跡=西部ラジャスタン州(AFP時事)
1974年5月に実施されたインド初の地下核実験の跡=西部ラジャスタン州(AFP時事)

 【ニューデリー時事】インドが初の核実験を行ってから18日で50年がたった。隣国のパキスタンや中国と対立する中、核攻撃を受けない限り核兵器を使わない「先制不使用」の原則を今のところ維持している。
 インドは1974年5月18日、西部の砂漠で初の核実験を実施した。コードネームは「ほほ笑むブッダ」。その10年前に核実験を成功させた中国への対抗が目的だったとされる。98年5月には再び核実験を行い、本格的な核武装を宣言。カシミール地方の領有を巡り過去3度戦火を交えたパキスタンはすぐに初の核実験を成功させ、対抗した。
 98年当時の首相は、現与党のインド人民党(BJP)のバジパイ氏だった。ジャイシャンカル外相は今月11日、「あの重大な決断以来、わが国の安全保障は確かなものとなった」とSNS上で称賛した。
 98年の実験当初は米国や日本から経済制裁を科されたものの、3年後に解除。核拡散防止条約(NPT)に加盟しないまま、事実上の核保有国の地位を確立した。
 2016年には唯一の被爆国である日本からの原発輸入を可能にする原子力協定に署名した。昨年5月にはモディ首相が先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の拡大会合に参加。57年の初代首相ネール氏以来となるインド首相の広島訪問が実現した。
 インドは核兵器使用に当たっては、先制不使用や非核保有国を攻撃しないといった原則を明らかにしてきた。ただ、シン国防相は19年、先制不使用の原則は堅持しているものの、「将来どうなるかは状況次第」とSNSに投稿した。
 その後も国内で中国の軍事力増大などを背景に見直し論がたびたび浮上してきたが、外務省のジャイスワル報道官は今月17日の記者会見で「方針に変更はない」と明言した。
 一方、インドは核抑止力の強化を目的にした兵器開発には積極的だ。今年3月には核弾頭を搭載可能な長距離弾道ミサイル「アグニ5」の多弾頭化実験に初めて成功。アグニ5は射程5000キロ以上とされ、中国全土を攻撃圏内に収める。全米科学者連盟によると、インドは推定170発の核弾頭を保有している。 

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広島市の平和記念資料館(原爆資料館)を視察するインドのモディ首相=2023年5月(同首相のSNSより)
広島市の平和記念資料館(原爆資料館)を視察するインドのモディ首相=2023年5月(同首相のSNSより)

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