ガザ停戦、合意妥結は見通せず=ハマスは提案歓迎―イスラエル、「壊滅」崩さず 2024年06月01日 19時59分

イスラエルのネタニヤフ首相=5月13日、エルサレム(AFP時事)
イスラエルのネタニヤフ首相=5月13日、エルサレム(AFP時事)

 【カイロ時事】バイデン米大統領が5月31日、パレスチナ自治区ガザで続くイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘を巡り、イスラエルが停戦に向けた新提案を提示したと発表した。ハマスは「前向きかつ建設的に」対応する用意があると表明。ただ、イスラエルは、「ハマス壊滅」の立場を崩しておらず、双方が合意に向けて歩み寄れるかは見通せない。
 これまでイスラエルは「一時的な戦闘休止」を、ハマスは「恒久的な停戦」を要求し、双方の最大の対立軸となっていた。バイデン氏は、「永続的停戦」を目指す行程表と位置付けた一方、ハマスが合意を破ればイスラエルは戦闘を再開できると説明した。
 ハマスは31日に声明を出し、「前向きに受け止める」と歓迎した。生き残りを図りたいハマスはこれまで、戦闘休止後にイスラエルが攻撃を再開しない保証を求めてきた。今回、バイデン氏が「永続的停戦」を支持したことで、一定程度保証を得たと捉えた可能性もある。
 ただ、提案した側のイスラエル首相府は6月1日の声明で、永続的停戦の条件として、ハマスの軍事・統治能力の破壊と人質全員の帰還、ガザがイスラエルの脅威とならないことを挙げ、従来の立場を改めて強調。「この条件が満たされる前に停戦に同意することはない」とくぎを刺した。今後も戦闘が続くことが予想される上、ハマスが交渉のテーブルに着くことを拒否する恐れもある。
 イスラエルのネタニヤフ首相の側近、ハネグビ国家安全保障顧問は先に、人質家族に対し、人質全員を帰還させるためだとしても、「政府が戦争をやめる決定は下さない」との見方を示したと報じられている。イスラエルとハマスが合意した場合でも、イスラエルがある段階で、ハマスが合意を守っていないと主張し、ガザでの作戦を再開する事態も否定できない。 

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