韓国、拡声器宣伝を検討=北朝鮮、汚物風船の中断表明 2024年06月02日 12時12分

韓国の京畿道坡州市で発見された、北朝鮮から飛来した風船にくくり付けられていたごみ。韓国国防省が2日公開した=撮影日不明(同省提供・時事)
韓国の京畿道坡州市で発見された、北朝鮮から飛来した風船にくくり付けられていたごみ。韓国国防省が2日公開した=撮影日不明(同省提供・時事)

 【ソウル時事】北朝鮮が汚物を付けた風船を韓国に向けて飛ばした問題で、韓国政府は2日、国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開き、「北朝鮮が耐え難い措置に着手する」と決めた。南北軍事境界線付近での拡声器による宣伝放送の再開を検討する。韓国軍によると、ソウルを含む各地で発見された風船は計約1000個に達した。
 朝鮮中央通信によると、北朝鮮国防次官は2日夜に談話を発表し、風船を飛ばすのを中断すると表明した。3500個超の汚物風船を放ったとし、韓国の脱北者団体の体制批判ビラへの「対抗措置だ」と主張。今後も団体がビラ散布を行えば措置を再開し「100倍の紙くずと汚物」を送ると強調した。
 韓国の拡声器による宣伝放送は過去、北朝鮮の軍事挑発への対抗措置として断続的に行われてきた。韓国の豊かな生活ぶりなどを伝えていることから、体制の動揺を招きかねないと北朝鮮が強く反発してきた経緯がある。北朝鮮に融和的な文在寅前大統領が2018年4月に金正恩朝鮮労働党委員長(当時)と発表した「板門店宣言」に宣伝の中止と拡声器撤去が盛り込まれていた。
 北朝鮮は先月28日から29日にかけて風船を飛ばし、韓国各地で約300個が確認された。今月1日夜からも再び風船を放ち、さらに約720個が発見された。風船にはたばこの吸い殻や紙くず、布切れなどがくくり付けられていた。 

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