李在明氏、大きく前進=最大の障害除去、与党に焦り―韓国 2025年03月26日 19時26分

【ソウル時事】韓国の革新系最大野党「共に民主党」の李在明代表に下された逆転無罪判決は、次期大統領選の野党最有力候補とされる李氏を大きく後押しする結果となった。出馬への最大の障害が取り除かれたことで、党内の「一強」体制はより固まる見通しだ。保守系与党「国民の力」は判決に激しく反発するものの、尹錫悦大統領の弾劾審判の宣告も控え、焦りの色がにじむ。
「検察や政権は李在明を捕まえるために証拠を捏造(ねつぞう)した」。李氏は判決後、集まった国会議員らの前で、意気揚々と批判を展開した。
世論調査機関「韓国ギャラップ」が21日に発表した次期大統領にふさわしい人物の調査で李氏の支持率は36%とトップ。野党内の対抗馬として金慶洙前慶尚南道知事らが活動を始めていたが、今回の判決を受け、李氏に対抗する党内の動きは大きく鈍りそうだ。李氏は今後、大統領選本選を見据え、「アンチ」が多い中間層の取り込みに力を入れる見通しだ。
ただ、李氏は今回の公選法違反事件の他にも北朝鮮への不正送金など4件の裁判を抱える。大統領には「不訴追特権」があるが、仮に李氏が大統領になった場合、就任前に起訴された事件の裁判が停止されるかどうかについては学者の間でも意見が割れ、論争の余地が残る。
一方、与党トップの権寧世非常対策委員長は26日、記者団に「最高裁で迅速に裁判を行い、正義が成し遂げられることを期待する」と述べたが、落胆の色を隠せなかった。「有罪」の李氏と対決することを望んでいた同党には打撃だ。
依然として「司法リスク」が残る李氏を嫌う有権者が一定程度いるとはいえ、憲法裁判所が尹氏の罷免を認めた場合の大統領選は約2カ月の短期決戦となる。しかし、与党は弾劾反対を掲げている以上、まだ表立って大統領選の準備もできず、打つ手を欠いている。