南シナ海巡り中比応酬=「プロパガンダをどうも」―アジア安保会議 2025年06月01日 15時05分

1日、シンガポールで行われたアジア安全保障会議で発言するフィリピンのテオドロ国防相(ロイター時事)
1日、シンガポールで行われたアジア安全保障会議で発言するフィリピンのテオドロ国防相(ロイター時事)

 【シンガポール時事】シンガポールで行われたアジア安全保障会議(通称シャングリラ会合)で1日、登壇したフィリピンのテオドロ国防相の対中批判に中国軍関係者が反発し、非難の応酬となる一幕があった。中国は南シナ海のほぼ全域で領有権を主張しており、中国海警局船が比船舶に放水銃を発射するなどの強硬な対応を繰り返している。
 テオドロ氏は演説で、中国が南シナ海で一方的に主張する境界線「九段線」は「国際法に基づいていない」と指摘。習近平国家主席や中国政府は「公平かつ公正」な国際秩序の重要性を説くが、中国の価値観は「世界の他の国々、とりわけ小国とは全く異なる」と強調した。
 これに対して会場の中国軍関係者は、同じく南シナ海の領有権問題を抱えるベトナムやマレーシアは、中国との「相違点」に効果的に対処していると反論。なぜフィリピンは同様にできないのかと質問し、マレーシアのアンワル首相が対中対話の重要性を指摘したことに言及した。
 テオドロ氏は「質問に見せ掛けたプロパガンダをどうもありがとう」と皮肉で切り返し、「中国が現在フィリピンに対してやっていることを他の東南アジア諸国にもやれば、違った反応が見られるだろう。対話は信頼がないと成り立たない」と語った。 

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