「トランプ減税」争点に=バイデン氏、富裕層向け続けず―米大統領選 2024年05月14日 15時00分
【ワシントン時事】11月の米大統領選を控え、2025年末に期限を迎える「トランプ減税」の扱いが争点に浮上している。バイデン政権は富裕層向けの減税措置などを続けない方針を強調。一方で、共和党の候補指名を確定させたトランプ前大統領は、富裕層を含めた幅広い大規模減税の実施を訴えている。
トランプ政権下の17年に実現した大型減税は、いわばトランプ氏の「看板政策」だ。トランプ氏は11日、東部ニュージャージー州で開かれた集会で、バイデン大統領が「トランプ減税をやめることを望んでいる」と批判。自身が返り咲けば減税継続にとどまらず、「中間層、富裕層、低所得層へ最大規模の減税を行う」と表明した。
これに対しバイデン氏は、富裕層や大企業に「応分の負担」を求めており、減税失効を機に税制の公平性を高める意向だ。政権で経済政策のかじ取りを担うブレイナード国家経済会議(NEC)委員長は10日の講演で、トランプ減税の「富裕層向け措置を終わらせるとともに、法人減税も縮小する必要がある」と明言した。
米議会の超党派機関、議会予算局(CBO)の試算によると、トランプ減税がそのまま維持されれば、財政赤字は34年度までの10年間で5兆ドル(約780兆円)弱増加する。
米国の債務は、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げに伴う金利負担増で、ただでさえ膨張が懸念されている。イエレン財務長官は13日のテレビインタビューで「財政を持続的な軌道に乗せる必要があるが、金利上昇で一層困難になっている」と認めた。次期大統領が誰であっても、予算編成権を持つ議会を巻き込み、トランプ減税を巡る議論は紛糾しそうだ。