製造業景況感、2期連続改善=関税懸念和らぐも足踏み―9月日銀短観 2025年10月01日 09時00分

日銀が1日発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業でプラス14(前回プラス13)に上昇し、2四半期連続で改善した。日米関税交渉が合意に至り、企業の懸念が和らいだ。一方、関税の悪影響が本格化する警戒感は残り、先行きの予想は悪化している。人件費上昇や物価高による節約志向も重しとなり、回復は足踏み状態となった。
DIは、業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」を引いて算出する。日米関税交渉が合意に達して以降、初の調査となった。
大企業製造業では、米国による日本車への追加関税引き下げが反映され、自動車がプラス10(同プラス8)と小幅に改善。造船・重機などでは価格転嫁も寄与し、プラス36(同プラス27)に上昇した。一方、米国が50%の高関税をかけ続けている鉄鋼は11ポイント悪化し、大幅なマイナス圏。輸出や収益への懸念がくすぶる。
大企業非製造業はプラス34で前回と横ばい。価格転嫁の進展により建設、物品賃貸などが改善した。ただ、インバウンド(訪日客)需要が鈍く、宿泊・飲食サービスがプラス26(同プラス45)と大幅に悪化し、下押し要因となった。
中小企業は製造業のDIがプラス1(同プラス1)で横ばい。自動車でマイナス5(同0)に悪化し、関税の影響による出荷減少への懸念が拭えない。非製造業はプラス14(同プラス15)で2四半期連続の悪化となった。