米利下げ「慎重に進める」=インフレ、雇用リスク―トランプ関税の影響鮮明・FRB議長 2025年08月22日 23時09分

【ジャクソンホール時事】米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は22日、西部ワイオミング州で開催している年次経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で講演し、政策金利の引き下げ検討を「慎重に進められる状況にある」と語った。トランプ政権の高関税政策などの影響を念頭に、短期的にはインフレが上振れ、雇用は下振れするリスクがあると指摘した。
FRBは来月16、17日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)で、今後発表される経済指標を考慮し、金融緩和再開の是非を判断する見通しだ。利下げが決まれば、昨年12月以来6会合ぶりとなる。
米国の労働市場は鈍化が鮮明となる一方で、高関税政策により、インフレ再燃も懸念されている。パウエル氏は物価と雇用双方にリスクを抱え、金融政策運営にとっては「困難な状況だ」と警戒感を示した。
今月初めに発表された7月の雇用統計で、5、6月の非農業部門就業者数が大幅に下方修正された。ただ、パウエル氏は雇用の伸び鈍化は、政権の移民規制強化による労働力供給減もあって、「労働市場に大幅な余剰をもたらしていない」と分析。一方、直近で4.2%の失業率は「歴史的な低水準だ」と話した。
パウエル氏はまた、「トランプ関税」の物価への影響は「今や明らかだ」と明言。関税引き上げの影響は一時的とみられるものの、「持続的なインフレの問題となるのを許容しない」と強調した。