米財政悪化、避けられず=成長で債務圧縮狙うも―トランプ減税 2025年07月04日 16時08分

 【ワシントン時事】トランプ米大統領の看板政策である大型減税を盛り込んだ「大きく美しい法案」が3日、下院で可決された。トランプ氏は4日、法案に署名し、「トランプ減税」は晴れて実現する。しかし、減税を手当てする財源に乏しく、財政悪化は避けられず、中長期的な米経済の先行きに暗い影を落とす。
 「議会予算局(CBO)の見通しは信じない」。ベセント財務長官は3日、米テレビのインタビューで、大型減税法案で財政赤字が2034年度までに3兆4000億ドル(約490兆円)増えるとのCBOの試算について問われ、そう反発した。
 ベセント氏は、CBOが米国の実質GDP(国内総生産)伸び率を約1.8%と、同国の潜在成長率近辺で推移すると予測していることを問題視。「2.8%程度の成長に上向くなら、債務は消えてなくなる」と言い放った。
 ベセント氏が期待するのは、政権が進める減税や規制緩和が民間主導の成長を促すことだ。「成長のほうが債務よりも速いペースで拡大する」と、高成長による債務制御に自信を示す。
 一方で米シンクタンク、責任ある連邦予算委員会(CRFB)は、大型減税で「今後2年ほどシュガー・ハイ(糖分摂取による興奮状態)となるかもしれない」としたものの、「長期的な経済の健全性は法案により悪化する」と主張。米債務のGDP比率は34年度に127%と、現在の100%から上昇すると見込む。
 国際通貨基金(IMF)のコザック報道官は3日の定例記者会見で、法案が「中期的には債務削減とは逆行する」と明言。「債務を減らすには財政健全化が必要になる」と指摘した。 

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