マスク外し集団で農作業=中朝国境、透ける食料難 2024年04月29日 14時54分
中国東北部・遼寧省丹東から国境越しに望む北朝鮮では、多くの村民がマスクを外し、集団で農作業を行っていた。コロナ禍からの脱却を感じさせる一方、経済制裁や国境封鎖の影響で悪化した食料事情と生活の困窮も垣間見えた。
丹東と鴨緑江を挟んで隣り合う北朝鮮の農村では、あちこちから小規模な焼き畑の煙が上がっていた。牛車で土を耕したり馬を放牧したりする農民のほか、トラクターも稼働。取材に訪れた4月下旬は気温が高く、上着を脱いで休憩する国境警備兵もいた。
丹東のさらに北東約200キロに位置する吉林省集安。対岸の北朝鮮側では巨大な工場が白煙を上げていた。観光関係者によると、セメント工場だという。
一方、周辺集落の住居内部は曇り空の下でも一様に暗く、電力供給が十分でないことがうかがえた。「金正恩将軍万歳!」のスローガンが書かれた看板のそばで働く村民は、雨が降りだしても農作業の手を止めない。
警備兵の詰め所の傍らに、食用ウサギの飼育小屋とみられる施設があった。北朝鮮では食料難への対策として、2021年ごろから全国でウサギの飼育が拡大しているとされる。