中国で自動運転、回復カギに=米テスラ、走行データ活用 2024年04月30日 14時31分
【ニューヨーク時事】米電気自動車(EV)大手テスラが主要市場の中国で自動運転システムを展開できる見通しとなった。苦戦している中国事業を立て直し、車から集められるようになる多量の走行データを技術の発展に生かせるかどうかが成長回復のカギを握る。
対象は「フルセルフドライビング(FSD)」と呼ばれるシステム。ほとんどの運転操作を車が行うが、ドライバーによる常時監視が必要で、自動運転技術の指標ではレベル2に当たる。北米のテスラ車所有者に8000ドル(約125万円)、または月99ドルで提供されている。
マスク最高経営責任者(CEO)は今週、中国を訪問。報道によると、中国で外資企業が自動運転技術を使って車を走らせるには当局の許可を持つ現地企業との提携が必須だが、テスラは中国IT大手百度(バイドゥ)との協業によりこの障壁をクリアできる見込みだ。
中国では、小鵬汽車などの新興EVメーカーや家電大手の小米科技(シャオミ)がテスラよりも安価で自動運転にも力を入れたモデルを投入。テスラの販売シェアは落ちてきている。
FSDの展開により、テスラは製品の競争力を高める一方、新たな収益源にできる可能性がある。自動運転技術の基となる人工知能(AI)の学習に中国の走行データも活用できるようになるとみられ、開発にプラスの効果が見込まれる。下落が続いてきた同社株はこうした期待を背景に29日、前週末終値比で一時18%高と急騰した。
テスラは世界的に販売が減速する中、自動運転技術に一層注力。FSDを搭載した無人タクシーを8月に披露する。マスク氏は今年100億ドルをAI開発に投じる方針も示している。