南国なのに雪像競技強豪=盛んな彫刻文化背景―タイ 2024年05月01日 05時20分
【バンコク時事】熱帯モンスーン気候の南国タイは、雪が降らないものの、雪像作りでは日本や中国で開催された国際コンクールで参加チームが優勝するなど「強豪」と言える実力を持つ。関係者は「伝統的に彫刻が盛んな文化が背景にある」と説明する。
今年1月に中国黒竜江省ハルビン市で開催された「国際大学雪像コンクール」では、バンコクのサオワパー職業訓練学校のチームが優勝を果たした。タイの街を走る三輪タクシー「トゥクトゥク」と伝統的な仮面などを組み合わせた作品で、学生4人で完成させた。
学生を指導した同校教師のソーンチャイさん(27)によると、コンクール前には粘土や砂を混ぜたセメント、氷を彫って練習。メンバーだったスダーカーンさん(18)は「雪には初めて触れた。寒さや手袋に慣れておらず大変な部分もあったが、良い経験だった」と振り返った。
札幌市で2月に開かれた「さっぽろ雪まつり」の国際雪像コンクールには、氷の彫刻家ら3人のタイ人が参加した。タイのチームはこれまでに3連覇を果たすなど実績は十分で、今回は蛇の形をした神「ナーガ」の作品で準優勝した。
ソーンチャイさんは、雪像作りでタイが強い理由について、古くからの仏教芸術や果物に模様を刻む伝統などを挙げる。「タイには彫刻文化が根付いていて、独特のスタイルがある。岩でも雪でも素材が変わるだけで、基本的な工程は変わらない」と語った。