バイデン氏、反戦運動を懸念=トランプ氏は裁判足かせ―米大統領選 2024年05月04日 14時12分

3日、ワシントンのジョージ・ワシントン大で行われた反イスラエルデモ(AFP時事)
3日、ワシントンのジョージ・ワシントン大で行われた反イスラエルデモ(AFP時事)

 【ワシントン時事】半年後に迫った米大統領選では、バイデン大統領の懸念材料として国内の反戦運動が浮上する一方、トランプ前大統領にとっては、刑事裁判の本格化が選挙活動の足かせとなっている。両候補とも不安を抱えながら本格的な選挙戦に突入している。
 「流れは確実にこちらにある」。バイデン氏は1日、ワシントンの選挙集会で気勢を上げた。好評を博した3月7日の一般教書演説の後、一部世論調査でバイデン氏が追い上げる結果も出始め、手応えを感じている様子だ。
 だが、長引くインフレや不法移民の増加に加え、終わりの見えないイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が影を落とす。米各地の大学では反イスラエルデモが拡大。パレスチナ自治区ガザの惨状に同情する若者や左派は、イスラエル支援を続けるバイデン氏への投票拒否を呼び掛けている。
 民主陣営を脅かすのは、ベトナム反戦が吹き荒れた1968年大統領選の記憶だ。当時のジョンソン大統領は再選不出馬に追い込まれ、シカゴの党全国大会ではデモ隊と警察が衝突。混乱収束に失敗した党のイメージは悪化し、共和党のニクソン氏に大敗を喫した。急進左派を代表するサンダース上院議員は「ガザがバイデンのベトナムになるかもしれない」と懸念する。
 一方、トランプ氏は1日、出廷の合間を縫ってウィスコンシン、ミシガン両州を駆け足で訪問。「バイデンは政敵を投獄しようとしている」と訴え、支持者の怒りをあおった。
 トランプ氏は4月15日に不倫口止め料事件の公判が始まって以来、「被告」として連日ニューヨーク州地裁に缶詰め状態。自由に行動できるのは休廷する水曜と週末のみで、選挙活動は制約されている。
 トランプ氏はニューヨーク市内を視察するなどパフォーマンスに励むが、陣営は「スケールが小さく、市長選にでも出馬しているかのようだ」と懸念する。公判では「廷内が寒い」とこぼし、疲れからか時折うたた寝する姿も。77歳の気力、体力は、じわりと奪われている。 

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