日本人再訪「熱烈歓迎」=30年で客数60分の1に―シルクロード敦煌・中国 2024年06月23日 14時21分
シルクロードで知られる甘粛省敦煌にはかつて、日本人観光客が押し寄せた。しかし、今はピーク時の60分の1に激減し、地元は「再訪熱烈歓迎」と呼び掛けている。現代でも仏教徒が多く、日本への親近感が強い土地柄だ。金杉憲治・駐中国大使の敦煌訪問に同行し、現地の声を聞いた。
敦煌研究の柱となっている敦煌研究院。トップの趙声良・同院共産党委員会書記が23日までに、世界遺産の仏教遺跡「莫高窟」の前で一部日本メディアのインタビューに日本語で応じた。趙氏は「シルクロードを通じて敦煌と日本の仏教美術はつながっており、これまで日本の専門家には壁画の保存で協力してもらった」と謝意を表した。
「敦煌の壁画と塑像の全てをデジタル化して永遠に保存する」のが趙氏の願いだ。既に7割を終えたが、「小さな石窟にはカメラが入れず、今後5~8年で技術的問題を解決したい」と説明。デジタル保存でも日本の協力を受けたいと述べた。
敦煌市トップの石琳・市共産党委員会書記は、金杉大使と会談し「日本と敦煌を結ぶチャーター便の年内実現に取り組む」と表明。「多くの日本人に歴史文化に触れてほしい」と呼び掛け、金杉氏は「豊富な観光資源を持つ敦煌との交流拡大を期待する」と歓迎した。
市政府に近い観光業関係者によると、日本人が最も多かったのは1990年代前半で、93年には年間6万人が訪問。当時、観光客と言えば日本人を指したというが、2023年は1000人程度で、新型コロナウイルス流行前の19年でも約5000人にとどまった。
日本人観光客は当時も今も、敦煌と新疆ウイグル自治区トルファンをセットで訪れることが多い。トルファンのホテル従業員の女性は「『西遊記』に登場する火焔山が日本人に人気だったが、今は個人客がたまに来る程度。再び、魅力的なシルクロードに足を延ばしてほしい」とほほ笑んだ。
日本の旅行会社にはコロナ禍後に再開したシルクロードツアーに手応えを感じているところもある。阪急交通社の広報担当者は「北京や上海方面に比べ日程が長く旅行代金も高めとなるが、大健闘だ」と明らかにした。