課題解決につながる投資を=マイナビのインド子会社社長 2024年06月24日 15時22分

インタビューに答える「マイナビ・ソリューションズ・インディア」の伊藤秀和社長=5月29日、インド首都ニューデリー郊外グルガオン
インタビューに答える「マイナビ・ソリューションズ・インディア」の伊藤秀和社長=5月29日、インド首都ニューデリー郊外グルガオン

 【ニューデリー時事】就職情報会社マイナビ(東京)のインド子会社「マイナビ・ソリューションズ・インディア」社長で、同国のスタートアップ(新興企業)事情に詳しい伊藤秀和氏がインタビューに応じた。日本のサービス業がインド市場で信頼を得て生き残るには、「現地の課題解決や国の成長につながる」ことが重要だと強調した。
 同社は主に人材や教育分野の新興企業約15社に投資し、一部は買収に踏み切った。伊藤氏が注目するのは4月に買収した人材サービス会社のアウィグナ。単発で仕事を請け負う「ギグワーカー」を活用し、顧客から案件を受託、成果を提供するビジネスモデルだ。
 インドは労働人口の約9割が非正規雇用とされるが、質のばらつきが激しく、伊藤氏は「人材派遣サービスに対する課題が浮き彫りになっていた」と語る。アウィグナはデジタル技術も駆使して仕事の進捗(しんちょく)を管理。質の高い成果を保証しているという。
 教育にも注目する。世界最多の人口を抱え、平均年齢が若いインドの教育産業は盛り上がりを見せており、未上場で企業価値10億ドル以上の「ユニコーン」も複数誕生。ただ、高等教育分野では、一部の有名大学を除けば、学生は満足のいく教育を受けることができず、就職の機会に大きな格差があるとされる。
 伊藤氏は「約8割の大学は機能していない。まさに大学生が困っている問題」と話す。出資する高等教育関連企業は卒業生にプログラミングなどの訓練を約10カ月実施し、就職につながるよう後押ししている。
 一方、3期目のモディ政権に関しては「新しいビジネスを制限せず、引き続き支援してほしい」と訴える。「インドには多くの課題があり、それを解決するサービスやアイデアが生まれる土壌がある。ビジネス機会をしっかり捉え、拡大していきたい」と力を込めた。 

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