イラン報復、米長官「48時間以内」=イスラエル首相「全戦線で対抗」 2024年08月05日 17時00分
【イスタンブール時事】イランでイスラム組織ハマス最高指導者ハニヤ氏が殺害された事件で、米ネットメディア「アクシオス」は、ブリンケン米国務長官が日本時間4日夜に行われた先進7カ国(G7)外相の電話会談で「早ければ24~48時間以内」にイランがイスラエルへ報復攻撃を行う可能性があると述べたと伝えた。
アクシオスによれば、ブリンケン氏はイランがレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラと共に報復に乗り出すと指摘。「米国は緊張激化の連鎖を断ち切るため、可能な限りイランとヒズボラの攻撃を限定的にさせ、イスラエルの反撃を抑制させる努力をしている」と語ったという。ヒズボラは7月30日にイスラエル軍に最高幹部の1人を殺害され、報復を明言している。
イスラエルのネタニヤフ首相は4日、エルサレムで演説し、「イランとその代理勢力は、テロという抑圧でイスラエルを取り囲もうとしている。近くても遠くても、すべての戦線や領域で立ち向かう決意だ」と強調。4日夜にはガラント国防相や軍首脳らと対応を協議し、万全の準備を敷いている姿勢を誇示した。
イランは7月31日に首都テヘランで起きたハニヤ氏暗殺はイスラエルが実行したと主張し、主権侵害だとして報復を宣言。精鋭軍事組織「革命防衛隊」は「適切な時間や場所、方法で厳しく罰する」と威嚇した。米メディアは4日、自制を求めるアラブ諸国の要請をイラン側が「戦争になっても構わない」と一蹴したと伝えた。イスラエルは暗殺への関与を認めていない。
イスラエルを支援する米国のファイナー大統領副補佐官(国家安全保障担当)は米ABCテレビに、4月にイランがイスラエルを攻撃した時と同様に「すべての可能性に備えている。米国防総省は(中東)地域に重要な戦力を移している」と説明した。
イスラエルとイランを巡る緊張が続く中、ヒズボラの拠点であるレバノンからの退避の動きも活発化している。フランスは4日、軍事的緊張の高まりを理由にレバノンからの退避を自国民に要請。英国も同日、首都ベイルートから大使館職員の家族を脱出させたと発表した。