台湾応援グッズ、没収相次ぐ=外交部「過度な取り締まり」―パリ五輪〔五輪〕 2024年08月05日 18時45分
【台北時事】パリ五輪で、台湾選手を応援するグッズが没収される事例が相次いでいる。中国と台湾の帰属問題が背景にあるが、観客が持つポスターやタオルが強制的に取り上げられる事態に、台湾外交部(外務省)は「過度な取り締まりだ」と抗議している。
台湾の中央通信社によると、4日にバドミントン男子ダブルスの中国と台湾の決勝戦が行われた会場で、台湾の観客の応援グッズが没収された。会場スタッフの1人は「オリンピック委員会の指示で、台湾を示す物は出してはいけない」と説明したという。
会場では中国人とみられる女性が警備員の脇に立ち、台湾のポスターなどを指さす様子が目撃された。中央通信社は匿名の中国人権活動家の話として「台湾の試合に限り、中国政府は現場に監視人員を派遣しオリンピック委員会に報告している」と伝えた。
2日の準決勝でも、「Taiwan」と書かれたタオルが没収されたほか、「頑張れ台湾」と書いたポスターが中国籍とみられる男に奪い取られる事件が発生した。
国際オリンピック委員会(IOC)は「一つの中国」原則を掲げる中国への配慮から、台湾の代表団に「チャイニーズ・タイペイ(中華台北)」の名称を使う条件で参加を承認している。台湾の正式名称である中華民国の「国旗」や「国歌」の使用は認めていない。
ただ、台湾側は「『台湾』の文字が書かれたグッズを禁止する明確な規定はない」(駐仏台北代表処=大使館に相当)との立場。頼清徳総統も自身のフェイスブックで「遺憾なことだ」とコメントした。