警護態勢に再び疑念=現場周辺で12時間待ち伏せか―容疑者訴追・トランプ氏暗殺未遂 2024年09月17日 14時34分
【ワシントン時事】米南部フロリダ州で起きたトランプ前大統領を狙った2度目の暗殺未遂事件を受け、大統領警護隊(シークレットサービス)による警護態勢に再び疑念が生じている。容疑者が約12時間にわたり、現場周辺で待ち伏せしていた可能性も浮上。大統領選候補が再び狙われる事態に、態勢強化を求める声が強まっている。
事件は15日午後1時半(日本時間16日午前2時半)ごろ、フロリダ州ウエストパームビーチにあるトランプ氏所有のゴルフ場で発生。茂みの間から銃が出ているのを警護隊員が発見し、発砲した。プレー中だったトランプ氏にけがはなかった。
連邦捜査局(FBI)は16日、銃の不法所持容疑で拘束していたライアン・ラウス容疑者(58)を訴追した。携帯電話の位置情報によって、15日午前2時ごろからゴルフ場付近にいたことが確認されており、トランプ氏を待ち伏せしていたとみられる。
ラウス容疑者は発砲しなかったが、潜んでいた茂みから照準器付きのSKS半自動小銃が押収された。FBIは事件前の足取りや銃の入手経路など、暗殺未遂に至った経緯を調べている。
警護隊のロウ長官代行は16日の記者会見で、事件に関し、警護は「有効だった」との認識を示した。ただ、トランプ氏のゴルフは予定にはなかったとも指摘しており、周辺の事前点検が間に合わなかった可能性がある。
トランプ氏は16日、FOXテレビのインタビューで、大統領選で対決するハリス副大統領らを指し「(トランプ氏を攻撃する)彼らの言説によって、私は銃口を向けられた」と主張。民主党陣営に批判の矛先を向けた。バイデン大統領は同日、「警護隊にはさらなる支援が必要だ」と述べ、議会に対応を迫った。
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、現職正副大統領や元大統領、その家族など警護隊の警護対象は40人を超える。社会の分断が深まる中、要人へのヘイトスピーチ(憎悪表現)や脅迫なども増え、警護の難易度も高まる一方だ。ロウ氏は会見で「われわれに失敗は許されない。そのために議会とも厳しい議論をする必要がある」と語り、人員や予算の拡大を求めていく考えを示した。