ガザ「長期保有」、住民移住も=トランプ氏が戦後計画で新提案―反発必至、国際法違反の恐れ 2025年02月05日 09時36分
![4日、ホワイトハウスで共同記者会見するトランプ米大統領(右)とイスラエルのネタニヤフ首相(AFP時事)](https://equity.jiji.service-rc.com/storage/news/2025020500378/20250205at15S_p.jpg)
【ワシントン時事】トランプ米大統領は4日、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘で荒廃したパレスチナ自治区ガザの戦後計画を巡り、パレスチナ住民を近隣諸国へ恒久的に移住させ、ガザを米国が長期的に「所有」する新提案を発表した。ガザ住民の意向を無視する構想で、アラブ圏など中東諸国に反発が広がるのは必至だ。
トランプ氏は4日、イスラエルのネタニヤフ首相とホワイトハウスで会談。新提案は会談冒頭や会談後の共同記者会見で明らかにした。第2次政権発足後、トランプ氏が外国首脳と対面で会談したのは初めて。
トランプ氏は会談冒頭、長期に及ぶ戦闘で壊滅的な被害を受けたガザについて「人が住む場所ではない」と指摘。「恒久的な再定住」の候補地としてヨルダンやエジプトを挙げ、すべてのガザ住民が「毎日死ぬことを心配せず、素晴らしい生活を送ることができる地域」に再び居を構えられると主張した。
会談後の記者会見では「米国がガザ地区を掌握する。所有し、危険な不発弾の処理や破壊された建物の撤去、無限の雇用を生み出す経済開発に責任を負う」と表明。「この停戦が流血と殺し合いに終止符を打つ、より永続的な平和の始まりとなることを期待する」と語った。
トランプ氏はガザの「長期的な所有」に言及し、米軍派遣の可能性も排除しなかった。移住や所有に関する法的根拠や手段には触れていない。戦時の文民保護を定めたジュネーブ条約は、占領地域からの住民の「強制移送」を禁じており、トランプ氏が提案を実行に移せば同条約に違反する恐れもある。
ネタニヤフ氏は「既存の枠組みにとらわれない意欲は、われわれの全ての目標達成を後押しするだろう」とトランプ氏を称賛。新提案について「異なる考えで注目に値する。歴史を変える可能性がある」と応じた。
歴代米政権はパレスチナ国家の樹立を認める「2国家共存」を支持し、仲介役として中東和平に尽力してきた。だが、トランプ氏は2国家共存を支持するのかを問われると「歴史から学ぶべきだ。同じ間違いを何度も繰り返すことはできない」と強調。新たなアプローチが必要だとの認識を示した。
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![4日、ワシントンで会談に臨むイスラエルのネタニヤフ首相(左)とトランプ米大統領(AFP時事)](https://equity.jiji.service-rc.com/storage/news/2025020500378/20250205at06S_p.jpg)