ウクライナ軍事支援を一時停止=トランプ米大統領、停戦交渉へ圧力―会談決裂、公式謝罪も要求 2025年03月04日 05時21分

【ワシントン時事】米メディアは3日、トランプ大統領がロシアの侵攻を受けるウクライナへの全ての軍事支援の一時停止を命じたと報じた。ウクライナのゼレンスキー大統領との首脳会談の決裂を受け、同国に圧力を強める狙いがある。米国の軍事支援に依存してきたウクライナにとっては痛手となる。ロイター通信は軍事物資の輸送が既に止まったと伝えた。
報道によると、米政権高官は「トランプ氏は和平に集中しており、パートナーにも同じ目標を目指してもらう必要がある」と主張。さらに「支援が解決策に貢献しているかを確認するため、一時停止し、見直しを行う」と説明した。
CNNテレビによると、米政権はゼレンスキー氏に公式な謝罪を要求している。停止の対象となるのはウクライナにまだ入っていない全ての武器で、航空機や船舶などで輸送中のものに加え、ポーランドで修理中の武器も含まれる。
ルビオ国務長官は報道後の声明で「われわれはロシアを交渉の席に着かせたい。和平が可能か探りたい」と表明。ウクライナから譲歩を引き出したい姿勢を鮮明にした。
トランプ氏とゼレンスキー氏は2月28日の首脳会談で激しい口論を展開。ウクライナの鉱物資源の権益を巡る合意文書への署名は中止となった。トランプ氏は3日、ホワイトハウスで記者団に対し、「(ゼレンスキー氏は)もっと感謝の気持ちを持つべきだ」と語った。
ただ、トランプ氏は鉱物資源の交渉を継続する考えも示した。「われわれにとって素晴らしいディール(取引)だ」と指摘し、交渉継続に前向きな姿勢を維持した。
一方、ロイターによると、トランプ政権はロシアに対する制裁の緩和に向けた検討に着手した。ロシアとウクライナの停戦交渉での取引材料にするためとみられる。