ウクライナ、「利敵行為」で対米不信=停戦交渉、不透明に 2025年03月04日 18時05分

ウクライナのゼレンスキー政権は、ロシアの侵攻下で最大の後ろ盾だった米国が、トランプ大統領の命令で軍事支援の一時停止にかじを切ったことに衝撃を隠せないもようだ。米ロ関係の正常化協議に着手したトランプ政権は対ロ制裁緩和も検討中と報道される。「利敵行為」に不信感は大きく、米国が強いるほぼ無条件かつ早期の停戦交渉開始にウクライナが応じられるかは不透明だ。
戦闘は2月で丸3年と長期化している。ロシアは来る停戦交渉を見据え、侵攻の手を弱めるのではなく、むしろ有利な条件を引き出そうと攻撃を強化。戦況は米欧が軍事支援を続ける中でも、ウクライナに不利に動いており、今回の米国の措置でさらに厳しい状況に追い込まれかねない。
将来的にロシアに侵略されない「安全の保証」に協力を得ようと、ゼレンスキー大統領は米ホワイトハウスに出向いて首脳会談に臨んだが、口論に発展。表向きは「米国への感謝」を口にしつつも、トランプ政権から「謝罪」を要求されたことに反発している。
米側では、ゼレンスキー氏の辞任要求の声も上がる。侵攻を理由に大統領選を延期したウクライナ側からすれば「内政干渉」にほかならず、ゼレンスキー氏が大統領職にとどまっていることを疑問視するロシアに同調したように映る。
ゼレンスキー氏の頼みの綱は、停戦後の平和維持部隊派遣の用意を示す英仏。ただ、欧州諸国は一部でロシアに融和的な主張があるほか、北大西洋条約機構(NATO)を通じた米国との関係を重視せざるを得ず、ウクライナ支援に向けた結束には不安要素が残る。