マクロン大統領「仏の核で欧州防衛」議論=独前向き、ロシアけん制 2025年03月06日 04時56分

【ブリュッセル時事】フランスのマクロン大統領は5日、国民向けにテレビ演説し、自国の核抑止力で欧州の同盟国を防衛する議論を始めると述べた。欧州では、ウクライナ和平を強引に進めるトランプ米政権への不信感を背景に、ロシアの脅威に対する懸念が急速に拡大。核保有国の英仏が果たす役割にドイツなどが期待を示している。
マクロン氏は、フランスが核保有国となって以来「欧州の平和と安全を維持してきた」と主張。核のボタンを押す決定権は「仏大統領が握り続ける」とくぎを刺しつつも、次期独首相の座が確実視されるメルツ・キリスト教民主同盟(CDU)党首が「核安全保障の適用に関し、英仏両国と協議が必要だ」と表明したことを歓迎した。
ただ、英仏が核の傘を広げるには課題が山積しており、実現には長時間を要する見込み。マクロン氏の発言には「ロシアのミサイルが欧州連合(EU)加盟国に到達すれば、ただではおかないという明確なメッセージ」(仏メディア)を送り、プーチン大統領をけん制する狙いがありそうだ。