中国主席「過剰関税に抵抗を」=マレーシア首相に対米共闘訴え―ASEANと連携図る 2025年04月16日 22時47分

15日、マレーシアで中国の習近平国家主席(手前右)を出迎えるアンワル首相(EPA時事)
15日、マレーシアで中国の習近平国家主席(手前右)を出迎えるアンワル首相(EPA時事)

 【北京、クアラルンプール時事】中国の習近平国家主席は16日、マレーシアの行政首都プトラジャヤでアンワル首相と会談した。中国外務省によると、両国は戦略的連携の強化や貿易・投資の拡大で合意。習氏は、高関税政策を掲げるトランプ米政権を念頭に「過剰な関税に抵抗すべきだ」と訴えた。
 マレーシアは今年の東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国。習政権は、関税を巡る対米通商摩擦が解決の糸口を見いだせない中、地域別で最大の貿易相手であるASEANとの関係強化を急いでいる。
 習氏は会談で、両国が「外部からの干渉」に反対し、外交に加え国防面でも関係を深めるべきだと主張。米国を名指しすることを避けながらも、「弱肉強食の法則に対抗していきたい」と語った。
 トランプ政権は、マレーシアに対して24%の相互関税を課すと表明している。アンワル氏は「一国主義の台頭に直面し、マレーシアは中国と共同でリスクに対処していく」と応じた。両氏は、人工知能(AI)やサプライチェーン(供給網)分野で連携を進める方針を確認。会談後、30以上の協力文書の調印式が行われた。
 習氏は15日、東南アジア3カ国歴訪の最初の訪問国だったベトナムを離れ、マレーシア入り。訪問に合わせて地元紙に寄稿し、「マレーシアやASEANと協力し、保護主義の逆流を打ち破りたい」と強調した。
 習氏のマレーシア訪問は2013年以来。習氏には、中国に不利益をもたらす条件で米国と交渉しないようにマレーシア側に念を押す思惑もあったとみられる。
 習政権は近年、巨大経済圏構想「一帯一路」の一環でマレーシアに接近し、鉄道建設などを通じて中国資本の浸透を強めてきた。マレーシアは、中国が影響力を持つ新興国グループ「BRICS」にもパートナー国として参加。昨年10月には、両国間の懸案である南シナ海の領有権問題を巡り、初の2国間対話を実施した。 

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16日、プトラジャヤで会談した中国の習近平国家主席(左)とマレーシアのアンワル首相(EPA時事)
16日、プトラジャヤで会談した中国の習近平国家主席(左)とマレーシアのアンワル首相(EPA時事)

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