未来志向の協力体制構築へ=韓国大統領、23日訪日 2025年08月22日 18時54分

【ソウル時事】韓国の李在明大統領が23日、6月の就任後初めて訪日し、石破茂首相と会談する。首脳が往来する「シャトル外交」の継続など関係発展の意志を確認し、日韓関係の安定と未来志向の協力体制を構築したい考えだ。
会談では、安全保障や経済、人的交流など幅広い分野の協力拡大が議題となる見通し。李氏は1998年の日韓共同宣言を引き継いだ上で、それを超える未来志向の関係構築を目指しており、石破氏との共同記者発表も調整している。
韓国大統領府の魏聖洛国家安保室長は22日の記者会見で、トランプ米政権の対外政策や米中対立などを念頭に「国益と実用の観点から、新たな戦略課題への対応策や知恵を共有する機会」となると述べ、日韓連携の重要性を強調。歴史問題を巡り、「柔軟で前向きな議論ができる環境を整えていきたい」と語った。李氏は元慰安婦や元徴用工訴訟問題で、歴代政権が日本と結んだ合意などを引き継ぐ考えを示している。
李氏は日本に続き米国を訪れ、25日にトランプ大統領と会談する。韓国大統領府などによると、首脳会談のために同盟国である米国より先に日本を訪問するのは歴代大統領で初めて。日韓関係と日米韓連携を重視する姿勢を鮮明にする狙いがある。
李氏は野党代表時代、日韓関係の改善を進めた尹錫悦前政権の外交を「屈辱外交」と批判。大統領就任後は、実益を重視する「実用外交」にかじを切り、日本や米国に残る「反日イメージ」の払拭を図っている。
6月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせ、カナダで石破氏と初めて会談した際、李氏からシャトル外交の再開を提案。日本の参院選後の政局不安定化も懸念されたが、訪日は李氏本人の「強い意志」(日韓関係筋)だったという。