対イラン空爆、容認せず=トランプ氏、イスラエル計画退け交渉優先 2025年04月17日 11時55分

【ワシントン時事】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は16日、イランの核施設を5月に空爆する計画をイスラエルが提案したところ、トランプ米大統領がイランとの核協議を優先し、容認しなかったと報じた。核問題解決に向けて外交を重視した形だが、交渉次第では軍事行動の選択肢も残されているという。
同紙によると、5月上旬に1週間以上にわたる大規模な空爆作戦を米国とイスラエルの当局者が検討。イスラエル軍が戦闘機を出撃させ、核施設を攻撃する計画を立案していた。米軍と協力し、イランの反撃に対処する方針だったという。
イランは昨年、イスラエルへの大規模なミサイル攻撃を実施。イスラエル軍が防空システムなどを標的に反撃を加えたことで、イランの防衛力は低下しているとされる。イスラエルのネタニヤフ首相は特殊部隊を投入した地下核施設への軍事作戦も検討したが、準備に時間を要するため断念した。
トランプ政権幹部の一部は当初、空爆作戦に前向きだったが、ギャバード国家情報長官がイランとの紛争拡大への懸念を示すと、バンス副大統領やヘグセス国防長官も同調。バンス氏は核協議が失敗すれば「イスラエルの攻撃を支援できるだろう」と語ったという。
トランプ政権内で慎重な意見が広がる中、今月7日にはホワイトハウスで首脳会談が開かれ、イランとの交渉が続く間は空爆に協力しないとトランプ氏が伝達。ネタニヤフ氏の面前でイランと協議することも記者団に発表した。
ただ、トランプ氏は「軍が必要ならば動員する」と述べ、交渉が成立しなければイスラエル主導で軍事力行使に踏み切る可能性も示唆している。米国とイランは12日、オマーンで高官協議を実施。19日に次回協議が予定されている。