豪野党党首が隣国情勢ミスリード=架空の「大統領発表」、資質に疑問符 2025年04月17日 16時18分

オーストラリア野党・保守連合のダットン自由党党首=3月28日、東部ブリスベン(EPA時事)
オーストラリア野党・保守連合のダットン自由党党首=3月28日、東部ブリスベン(EPA時事)

 【シドニー時事】オーストラリア総選挙(5月3日投票)で政権奪還を目指す野党・保守連合のダットン自由党党首が、隣国のインドネシア情勢を巡り事実に基づかない発言をした。ロシアが軍用機駐留を要請したとする一部報道を受け、ダットン氏は「インドネシア大統領が発表した」と説明。実際にそうした発表はなく、ダットン氏は後日ミスリードを認めたが、党首としての資質を問う声が出ている。
 国際軍事情報サイト「ジェーンズ」は、ロシアが豪州に近いインドネシア東部の基地に軍用機駐留を要請したと報道。これを受け、豪労働党政権が15日にインドネシア側に確認をしている間に、ダットン氏は「インドネシア大統領が発表するまで首相も外相も気付かなかったのか。大失態だ」と一方的に主張した。
 インドネシアのシャフリ国防相は同日、「ロシアから正式な要請はない。軍用機の駐留は認めない」と豪側に回答。「大統領発表」は架空と判明し、ダットン氏は翌16日に「間違いだった」と認めた。これに対し、労働党政権のウォン外相は「ダットン氏は大統領発表をでっち上げた」と反発。チャーマーズ財務相も「彼は首相になるには危険かつ無謀過ぎる」と批判した。
 ダットン氏は先に、公務員のテレワーク廃止の公約が批判を浴び、撤回したばかり。保守連合の支持率が伸び悩む中、挽回への焦りがミスリードにつながったとみられる。 

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