ロシア、主導権と実利確保=米から直接協議に「お墨付き」 2025年05月20日 14時39分

ロシアのプーチン大統領は19日のトランプ米大統領との電話会談で、3年ぶりに始まったウクライナとの直接協議に「お墨付き」を得た。電話会談の結果を受け、西側メディアは「トランプ政権が制裁を発動する可能性は低い」と報道。逆にトランプ氏は戦争終結を見据え、米ロの「大規模な貿易」を再開する方針で、プーチン政権が主導権と実利を確保しつつある格好だ。
直接協議は、米欧から迫られた即時停戦を拒否する代わりにプーチン氏自身が提案した。停戦を含む和平の条件は「当事国間で話し合う」とトランプ氏から言質を取り、第三国に関与させない姿勢をにじませた。
ウクライナの後ろ盾である欧州諸国は、即時停戦に応じないロシアへの制裁を強化する構えだ。ただ、プーチン政権はロシアに融和的なトランプ政権を引き寄せ、西側諸国の結束にくさびを打ち込んだ点で、一定の外交勝利を得たと言える。
プーチン氏は電話会談で「和平に関してウクライナと覚書をまとめる」用意があると約束した。18日放送の国営テレビのインタビューでは、戦争終結にはウクライナの非軍事化など、ロシアに望ましい「成果」が必要だと主張。今後は直接協議に取り組む姿勢を示しつつ、侵攻を続けてゼレンスキー政権に圧力をかけ、米欧には和平に寄与しないとして軍事支援停止を迫るもようだ。
危機感を募らせるのはゼレンスキー大統領だ。19日は米ロ首脳の会談に前後してトランプ氏と2回にわたり電話会談。終了後の記者会見で、プーチン氏の言う覚書に関し、ウクライナ軍撤退が和平の条件とされるなら容認しないとくぎを刺した。戦場で優位に立つロシアのペースで直接協議が進むことも警戒し、2国間ではなく米欧を含む多国間の協議を立ち上げるよう呼び掛けている。