「早く粉ミルクを」=ガザへの物資搬入再開 2025年05月20日 16時08分

避難所のテントで過ごす母子=1日、パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニス(ロイター時事)
避難所のテントで過ごす母子=1日、パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニス(ロイター時事)

 【カイロ時事】「できるだけ早く、粉ミルクを手に入れなければ」。パレスチナ自治区ガザへの支援物資搬入が再開した19日、ガザ中部の避難所で暮らす女性オムオマルさん(31)は時事通信の電話取材に、焦った様子で語った。イスラエルが約2カ月半にわたり物資搬入を禁止したことで、食料不足が深刻化。生後7カ月の息子が「栄養が足りず、弱り始めている」からだ。
 物資が途絶えてからは「小麦粉も肉もない」。十分な食事を取れず、母乳だけで栄養不足なのは明らかだが、粉ミルクが手に入らない。「7カ月にしては成長が遅い」。息子が栄養失調なのではないかと心配している。
 オムオマルさんは、ガザ住民が壊滅的状態に置かれているのは、イスラエルとイスラム組織ハマスが戦闘を続けているからだと、双方に怒りの矛先を向ける。「神は両者に罰を下すだろう」と語気を強めた。
 「素晴らしい一歩だ」。電話取材に答えたアブアドナンさん(62)は、物資搬入再開を歓迎した。ガザ中部で親族17人と避難生活を送るアブアドナンさんは、戦渦で職を失い、生活は「支援に頼りきり」。豆で空腹をしのいできた。19日にガザに入ったのはトラック5台分の物資だけだが、「ないよりずっとましだ」と話す。
 それでもイスラエル軍の攻撃が続く限り、厳しい状況に変わりはない。「われわれは疲弊している」というアブアドナンさん。ハマスが拘束する人質について「人質にも帰りを待つ家族がいるのだ」と述べ、早期に解放し戦闘を終わらせるべきだと訴えた。 

海外経済ニュース