米に配慮、関税議論は封印=東アジアサミット外相会議で―ASEAN 2025年07月11日 18時33分

東アジアサミット外相会議であいさつするマレーシアのモハマド外相(中央)=11日、クアラルンプール
東アジアサミット外相会議であいさつするマレーシアのモハマド外相(中央)=11日、クアラルンプール

 【クアラルンプール時事】東南アジア諸国連合(ASEAN)と日米中ロなどが参加する東アジアサミット(EAS)外相会議が11日、マレーシアの首都クアラルンプールで開催された。ASEAN各国はトランプ米政権の高関税政策に不満を持ちながらも、最大の投資国である米国に配慮して議論を封印した。
 米国はラオスに40%、タイに36%などASEAN各国に高い関税率を通知し、9日の域内だけの外相会議では懸念が相次いだ。ただ外交筋によると、EASの会議では各国からの発言はなく、「米国に遠慮した」という。
 会議ではフィリピンなどと中国が領有権を争う南シナ海問題が議論された。中国を念頭に威圧的な行動に対する懸念が日本を含む一部の国から示され、紛争回避のための行動規範を早期に策定する必要性を確認した。
 中東情勢を巡っては、イスラム教国のマレーシアなどがイスラエルによる攻撃を非難。日米中などで被害が発生している東南アジアが拠点のオンライン詐欺対策も議題となり、連携した取り締まりで一致した。
 東アジアサミットは2005年、地域や国際社会の問題を首脳らが協議する目的でクアラルンプールで始まった。マレーシアのモハマド外相は会議の冒頭、「20周年を機にすべての紛争を終結させるため、人道原則に基づいて行動しよう」と呼び掛けた。首脳会議は10月に開催される。
 11日はASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会合も開催されたが、北朝鮮は加盟後初めて欠席した。マレーシアとの外交関係が21年に断絶したことが影響した可能性がある。 

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東アジアサミット外相会議を前に、立ち話をするルビオ米国務長官(中央左)とロシアのラブロフ外相(同右)=11日、クアラルンプール
東アジアサミット外相会議を前に、立ち話をするルビオ米国務長官(中央左)とロシアのラブロフ外相(同右)=11日、クアラルンプール

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