トランプ米大統領、対ロ融和から転換=ウクライナ支援に急旋回 2025年07月15日 14時30分

【ワシントン時事】トランプ米大統領は、ウクライナに侵攻するロシアに対する融和路線を転換する姿勢を見せている。ロシアの貿易相手国への「2次関税」をちらつかせて50日以内の停戦を迫り、ウクライナへの新たな武器供与も表明した。背景には、停戦協議に乗ってこないロシアのプーチン大統領へのいら立ちがある。
就任前、「24時間以内に戦争を終わらせる」と豪語し、プーチン氏説得への自信を隠さなかったトランプ氏。しかし、戦況で優位に立つロシアは今も攻撃の手を緩めていない。トランプ氏は3日のプーチン氏との電話会談後、記者団に「(停戦では)何の進展もなかった」と不満を漏らした。14日には「彼ら(ロシア)に非常に強い不満を抱えている」と訴え、憤りを隠そうとしなかった。
一方、ウクライナのゼレンスキー大統領との4日の電話会談では、米国製防空システム「パトリオット」用ミサイルを含む防空能力支援を約束。国防総省が勝手に一時停止したとされるウクライナへの武器供給も再開させた。
ゼレンスキー氏による懐柔努力も重なった。2月28日のホワイトハウスでの首脳会談では激しい口論を繰り広げ、関係は著しく悪化した。しかし、ゼレンスキー氏はその後、トランプ氏が求めていた鉱物資源協定に合意。ことあるごとに米国への感謝を口にし、関係修復に努めてきた。
北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長や欧州諸国首脳も一役買っている。6月のNATO首脳会議では、トランプ氏が求める防衛費を国内総生産(GDP)比5%に引き上げる新目標で一致。トランプ氏とは関税政策で対立が続くものの、安全保障では議論がかみ合ってきている。
トランプ氏に近いグラム上院議員らがロシアの石油を購入する国々に最大500%の関税を課す法案を提出するなど、米議会でも対ロ強硬論が目立っている。ただ、米シンクタンク「大西洋評議会」のジョン・ハーブスト氏は「今回の発表は、ウクライナの和平実現に向けた継続的な努力の始まりでなければならない」と指摘。気まぐれなトランプ氏に「一貫性」を求めている。