イスラエル、ガザ中部に地上侵攻=戦車投入、WHO施設も攻撃 2025年07月22日 14時06分

【カイロ時事】イスラエル軍は21日、パレスチナ自治区ガザ中部のデイルバラに戦車部隊を進軍させた。ロイター通信が報じた。デイルバラへの地上侵攻は初めてで、戦車の攻撃で3人が死亡した。イスラエル筋によれば、デイルバラにはイスラム組織ハマスの拘束下にある人質が残されている可能性があるという。
軍は20日、デイルバラの住民に退避を勧告していた。ロイターは、デイルバラへの侵攻や住民の死者増加は、トランプ米政権などが仲介するガザ停戦交渉に悪影響を与える恐れがあると伝えた。
国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、退避勧告が出された地域には5万~8万人が居住している。住民のサレームさん(48)は21日、AFP通信の取材に「夜中に非常に大きな爆発音が聞こえ、地震かと思うほどの揺れが起きた」と振り返った。
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は21日、X(旧ツイッター)で、デイルバラにあるWHOの倉庫が攻撃による被害を受けたと表明。そのほか、WHO職員の居住施設にイスラエル軍が侵入し、女性や子供を強制的に追い出したなどと非難した。テドロス氏は「(ガザの)停戦は必要というだけでなく、既に行われているべきことだ」と訴えた。
イスラエル筋はロイターに対し、ハマスの人質がいると予測したため、デイルバラへの攻撃を控えていたと語った。イスラエル政府はガザには依然50人の人質がおり、うち20人は生存しているとみている。
ガザ保健当局は21日、イスラエル軍の攻撃でガザ全土で過去24時間に少なくとも130人が死亡したと発表した。