赤沢氏、米商務長官と協議=迫る交渉期限、長期化の観測も 2025年07月22日 17時32分

ベセント米財務長官(左)とラトニック米商務長官=5月30日、ワシントン(AFP時事)
ベセント米財務長官(左)とラトニック米商務長官=5月30日、ワシントン(AFP時事)

 【ワシントン時事】赤沢亮正経済再生担当相は21日夕、ラトニック米商務長官と会談した。参院選での与党大敗後初めて交渉に臨み、新たな「相互関税」が適用される8月1日の期限までに着地点を探りたい考えだが、協議は難航。トランプ政権側は「期限よりも米国第一の合意」を優先する立場を崩さず、交渉が長期化する公算が大きくなっている。
 関税交渉のための訪米は今回で8回目。日本政府の発表によると、赤沢氏はラトニック氏と2時間以上協議し、「日米双方の利益となる合意を実現すべく率直かつ突っ込んだ議論」を行った。赤沢氏はこれまでと同様、25%の自動車関税と相互関税の発動などについて見直しを求めたとみられ、ベセント米財務長官との会談の日程調整も続けている。
 石破茂首相は参院選敗北後も続投を表明した理由の一つとして、期限が迫る日米関税交渉への対応を挙げ、与党内にくすぶる「石破降ろし」の動きをけん制した。赤沢氏も米国に到着した21日朝、記者団に「8月1日までに合意を得たい思いは日米双方にある」と指摘。参院選の結果が交渉に与える悪影響は「ない」とあくまで冷静さを装った。
 だが、日本の政権基盤の弱体化を見透かすトランプ政権の姿勢は強気だ。ベセント氏は21日の米メディアへの出演で「優先するのは日本政府の内部事情ではなく、米国民にとって最良な合意だ」と強調。「期限よりも質の高い合意を重視する。急ぐつもりはない」と余裕を見せつけた。ラトニック氏はこれに先立ち、「期限後の協議を妨げるものはない。8月1日に関税が発動される」と語り、発動延期に否定的な見解を示した。
 高関税が発動され、難航する交渉を打開できなければ、日本の産業に広く影響が及ぶだけでなく、石破首相の求心力が一層低下し、与党内から退陣要求が一気に噴出しかねない。日本の政局をも左右する日米交渉は、大きな正念場を迎えている。 

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