イスラエルに関税・制裁案=ガザ人道危機で圧力強化―欧州委 2025年09月17日 23時28分

 【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)欧州委員会は17日、イスラエルとの包括協定に基づく貿易上の優遇措置を停止し、同国からの輸入品に関税を課す案を明らかにした。イスラエルの強硬派閣僚らへの制裁案も公表した。パレスチナ自治区ガザでの人道危機の深刻化や、イスラエルが占領を続けるヨルダン川西岸での入植拡大を受け、イスラエルに対する圧力を強化する必要があると判断した。
 欧州委によると、今回の提案が実現すれば、昨年のイスラエルからの物品輸入額の4割弱に当たる約58億ユーロ(約1兆円)分が新たに関税対象となる。また、ネタニヤフ政権のベングビール国家治安相とスモトリッチ財務相のほか、ヨルダン川西岸での暴力的な入植者を対象とした資産凍結や渡航禁止を提案。イスラム組織ハマスの幹部10人も新たに制裁対象に加えた。
 提案の発効にはEU理事会での加盟国による承認が必要となる。フォンデアライエン欧州委員長は声明で「即時停戦、すべての人道支援物資への自由なアクセス、ハマスが拘束している人質全員の解放が必要だ」と強調。一方、カラス外交安全保障上級代表(外相)は記者会見で「イスラエルを罰するのではなく、ガザの人道状況の改善が目的だ」と説明した。 

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