「ロシア旅券」ウクライナが捏造か=市長の国籍剥奪で―報道 2025年10月16日 07時50分

ウクライナのゼレンスキー大統領=13日、キーウ(AFP時事)
ウクライナのゼレンスキー大統領=13日、キーウ(AFP時事)

 ウクライナ南部オデーサのトゥルハノフ市長がロシアとの二重国籍を保有したとされる問題で、情報機関ウクライナ保安局(SBU)が「証拠」であるロシア当局発行のパスポート(旅券)画像を捏造(ねつぞう)した疑いが浮上した。ロシアの独立系メディア「インサイダー」が15日、明らかにした。ゼレンスキー政権が、親ロ派と見なすトゥルハノフ氏を陥れようとした可能性がある。
 SBUは旧ソ連国家保安委員会(KGB)の後継機関。ゼレンスキー政権は14日、パスポートなどを証拠に有力政治家であるトゥルハノフ氏のウクライナ国籍を剥奪したが、報道が事実なら前提が崩れる。
 インサイダーによると、トゥルハノフ氏の姓名のローマ字表記がロシア当局のルールと異なるなど「誤記」が複数認められた。また、画像から読めるパスポート番号は実在するが、2015年発行の同氏のものではなく、その約5年前に発行された別人のものとみられるという。
 欧州の調査報道機関ベリングキャットのロシア担当調査員フリスト・グロゼフ氏も、X(旧ツイッター)に「明らかな偽造」と投稿した。
 トゥルハノフ氏は二重国籍疑惑を否定。15日も市長として公務を続けたことを通信アプリ「テレグラム」で公表した。同氏は、市議会のみが失職の可否を決定できると主張するが、次に開かれるのは11月中旬。一方、政権の影響下にある中央選管は現地メディアに対し、国籍剥奪の大統領令を市議会が受け取った時点で失職すると指摘した。
 ゼレンスキー大統領は15日、オデーサの軍事行政トップにSBU出身者を任命した。国民が「権力闘争」と見なして不信感を抱けば、政権にマイナスとなりかねない。 

海外経済ニュース