トランプ氏、韓国に防衛費増額要求=関税交渉と並行、李政権に試練 2025年07月09日 19時08分

【ソウル時事】トランプ米大統領が韓国に防衛費の大幅な増額を要求し、李在明政権は危機感を強めている。韓国内では、関税交渉と並行して、トランプ氏が防衛費を巡り難題を突き付けているとの見方が強い。北朝鮮の脅威を抑止する上で、米国の意向を無視することはできないが、トランプ氏が納得する譲歩をすることも困難。6月に就任したばかりの李大統領は早くも試練を迎えている。
「不公平だ。韓国はたくさんの金を稼いでいる。防衛費を自ら負担するべきだ」。トランプ氏は8日、このように語り、李政権に防衛費の増額を迫った。さらに、在韓米軍の駐留経費についても「(韓国側の負担は)あまりにも少ない」と主張。バイデン前政権で合意した年間負担額の約9倍に当たる100億ドル(約1兆4700億円)を韓国が払うべきだとの認識を示した。
李政権の発足直後から、トランプ政権は防衛費を国内総生産(GDP)比5%に増やすよう求めてきた。2025年度の韓国の防衛予算はGDP比2.32%の約61兆2500億ウォン(約6兆5000億円)。米国の要求に従えば2倍以上の増額が必要となるため、韓国は反発してきた。
ただ、8日のトランプ氏の発言は、関税交渉を有利にするために「脅し」をかけた可能性が高い。トランプ氏は7日、韓国からの輸入品に8月1日から25%の「相互関税」を課すと通知したばかりだ。安全保障と関連付けて韓国を揺さぶり、譲歩を引き出そうとする狙いがうかがえる。
韓国は尹錫悦前大統領による昨年12月の「非常戒厳」宣言後、実質的にトップ不在の状態が半年続き、今年1月のトランプ政権発足後も外交・通商交渉が停滞していた。李大統領はトランプ氏との対面会談を模索しているものの、実現の見通しは立っていない。9日付の保守系夕刊紙・文化日報は1面で「韓米首脳会談に貿易交渉の譲歩案はもちろん、防衛費の増額案も持ってこいと(トランプ氏が)圧力のレベルを高めた」と報じた。
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